祐音文芸 MUSEUM
Creator(文芸員解釈・詩・朗読):松本 隆志
展示構成・映像制作:祐音文芸
Visual Artwork:Shion Art
与謝蕪村の名句
菜の花や 月は東に 日は西に
本作は、この一句を起点に構成された改作である。
この句は、時の流れや空間の広がり、季節の気配までもを一瞬に立ち上がらせる。私たちはその言葉の美しさによって、この句を「美しい情景」として受け取っている。
しかし、その情景は本当に、ありのままに見えているのだろうか。
私たちは無意識のうちに、言葉や知識、これまでの経験を通して世界を認識している。そのとき、私たちが見ている世界は、すでに分別された世界として立ち現れている。
本作は、そうした認識の先にあるもの、すなわち無分別の境地から見たとき、同じ一句、同じ景色はどのように立ち現れるのか、という問いを軸に構成されている。
美しいと感じることも、情景を情景として捉えることも、すべては分別と理性、そして蓄積された知識による作用なのではないか。
美醜や善悪といった二項対立、そして「個としての自分」があるという感覚を越えたところに、いかなる世界のあり方が開かれているのか。
本作は、その境界に立ちながら、見るという行為そのものを、静かに問い直している。
🔳 PROFILE
Creator(文芸員解釈・詩・朗読):
松本 隆志 ― TAKASHI MATSUMOTO ―
大手メーカーにて営業マネージャーとして活動する傍ら、TOC(制約理論)をはじめとしたマネジメント理論やマーケティングのフレームワークに触れ、ロジックと仕組みに基づく意思決定や組織のあり方を探求してきた。2024年、祐音研究所と出会う。詩禅美という、それまでの人生では出会ってこなかった未知の領域に強く惹かれ、入所を決める。理性や思考によって形づくられてきた世界認識が揺らぐ感覚を味わいながら、詩作を通してビジネスと生き方をひとつの連なりとして捉え直している。祐音文芸員、祐音研究所研究員、三思文学会員。
― 祐音文芸MUSEUM ―
アカデミズムを超越した美の領域、真の人文知を志向する文芸展。
伝統的人文知の流れを汲み、美風派として独自のセラピーミュージアムを展開。
メタ文学とメタアートが融合する詩禅美の世界観を、現代的な感性と交差する新たな文芸表現として提示する。