文学こそが芸術の代表
美学の世界には「文学こそが芸術の代表である」という主張もあります。
目に見えない美的なものを表現する文学こそ、最も優れた芸術であると。
実際、造形による芸術が感性に直接訴えるにしろ、私たちはそこに色や形だけを見ているわけではありません。
そう、そこに表現されている別の「何か」も見ています。
詩(文学)は美的対象としての芸術
例えば、哲学者カントは「想像力に訴える文学は、より豊かな美の表現を可能にする」と評価しています。
また、古代ギリシアの時代にさえ、すでに「詩(文学)は美的対象としての芸術」という考え方はありました。
アリストテレス曰く、表現手段が音、色や形、あるいは言葉かによって区別されるが、音楽、絵画、詩はすべて「模倣」であると。
ここでいう「模倣」とは、人間の感性に何かを訴えるもの、そうした特別な行動や感情を再現することを意味しています。
特に詩をはじめとする文学は、人間の行動や感情を再現しながらも、単に人物を真似してなぞるようなものではありません。
むしろ文学とは、混沌とした現実世界にひそむ類似性や関連性を見いだし、一連の出来事を秩序立てて構成するもの。
それゆえ、文学は現実以上に理解できる「物語」の世界を出現させます。