日本の精神に深く宿している世界観

[真知の探求としての美学 002]

日本には昔から、一輪挿しの花のある景色に美を見いだす感性があります。

古くは千利休の「一輪の朝顔」が有名でしょうか。

日本における茶道は、臨済禅の祖である栄西が茶の効用を説いたことが始まりだと言われています。

その茶道を佗び茶として完成させたのが千利休です。

一方で、禅が本格的に受容されたのは鎌倉時代以降。

しかし、日本にはそれ以前から禅的な無に美を見いだす感性はありました。

例えば、13世紀初頭に編まれた新古今和歌集に収められている一句。

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見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ

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詠み人は藤原定家。侘びの名句です。

日本的な諸行無常観と禅的な無が結びついたのも必然だったのかもしれません。

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▼COLUMN:真知の探求としての美学

[001] 人はどうして「美しいもの」に惹かれるのか

[002] 日本の精神に深く宿している世界観(このページ)

[003] 天才に愛された日本の真美性 

[004] 日本特有の美学 

[005] 形而上に振り切ることの唯一無二性

[006] 大人の学びたる本質 

[007] なぜ美学は哲学よりも上流層に刺さるのか 

[008] 大事なのは語る内容よりも語り口や言い回し

[009] 形而上世界への出家

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