[知の世界の構造 001]
以下の3つで一番腹が立つのはどれでしょうか。
「あなたは食べるのが遅いですね」
「あなたは案外、手先が不器用ですね」
「あなたはじつにバカですね」あるいは
「あなたは考える力がまったくありませんね」
多くの人は最後の言葉を言われると怒りをあらわにしたり、深く傷つくと思います。
そう、肉体が持つ他の機能の否定はOKなのに、思考機能の否定はなぜかNG。
それは、思考イコール自分自身と思っているからに他なりません。
本来、思考とは肉体が持つ機能のひとつにすぎないはずです。
けれど私たちは、それをあまりに重視しすぎて、思考こそが自己であり、思考こそがすべてと盲信してしまっています。
それは、私たちがそういう社会構造の中で生きているからです。
その背景には情報技術のめまぐるしい発展があり、それは西洋の知が出発点。
現代人の思考の基礎は、西洋式アカデミズムの教育によるものです。
さらに、個々のエンパワーメントが可能になった小さな物語の時代である現代。
過去に例がないほど「考える力」が求められています。
そして西洋アカデミズムに染まっている人ほど、この「思考=自己」の同一化が強いです。
しかし、「思考」に囚われているうちは、本質的なものを見失ってしまいます。
「その思考こそが自分自身である」という思い込み。
それは、私たちの真実を見る目を曇らせます。
まずは、そもそも自分がどれだけ西洋の知に洗脳されているかを知るところから。
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▼COLUMN:知の世界の構造
[001] なぜ現代人は考えを否定されると怒るのか(このページ)
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